IP分散サーバーというワードを耳にしたことがあっても、具体的にはどのようなサーバーなのか分からないという方は少なくないでしょう。ここでは、IP分散サーバーの基礎知識を初心者向けにできるだけ簡単に解説していきます。

IP分散サーバーとは、IPアドレスがクラスC以上で分散されているサーバーのことです。そもそもIPアドレスとは、インターネット上の住所のようなもので、インターネットに接続されたパソコンなどの機器を識別するために割り当てられています。「111.222.333.444」といったように3桁の数字が4つ合わさった形式で構成されており、それぞれクラスAからクラスDと呼ばれています。
通常、複数のドメインのサイトを運用しようとした場合、複数のドメインをひとつのサーバーで運用できるマルチドメイン対応のレンタルサーバーと契約するのが一般的です。マルチドメイン対応のレンタルサーバーは、複数のサイトを運営する上で非常に便利なものですが、全てのドメインのIPアドレスは同じになります。
これは、通常であれば問題ありませんがSEO的には大きな問題です。いくら異なるドメインのサイトを作成して、あるサイトへリンクを飛ばしたとしても、Googleは被リンク元のIPアドレスを読み取っているため、自作自演の被リンクと見破られてペナルティの対象となってしまいます。
また、同じレンタルサーバー会社から複数のサーバーを借りたとしても、クラスCまでは同じでクラスDのみが異なるのが一般的です。しかし、クラスDのみが異なっているサイトから、いくら被リンクを集約したとしてもGoogleは同じサーバーで運用されているサイトからの自作自演の被リンクと見破ってしまいます。したがって、同じレンタルサーバー会社から複数のサーバーを借りるという行為は、SEO的には意味がありません。
一方で、異なるレンタルサーバー会社と契約すれば、クラスC以上で分散されることになりますが、それでは被リンクを集めるメリットよりも、費用面でのデメリットの方が大きくなってしまいます。そこで登場するのがIP分散サーバーで、1つの契約でクラスC以上の分散されたIPアドレスを使用できるため、コストパフォーマンスに優れるというメリットがあります。
なお、IP分散サーバーは、主にSEO目的で使用されることが多いですが、メールアドレスを無制限に利用できるものもあり、社員用のメールサーバーとして活用されるケースもあるようです。