メールの送受信で使うメールサーバーは、普段あまり意識することがなく、サービスの利用やレンタルで使うというイメージが強いです。しかし、サーバー構築を行えば自分でメールサーバーを作ったり、運用を始めることができます。メールサーバーのサーバー構築をやる方法は、クラウドの仮想サーバー上と、自宅のパソコンで構築する方法があります。
前者はセキュリティや災害対応のハードルが低く、既存のメールサーバーソフトを導入する形なので、イメージよりも易しいです。ハードルの高さでいえば、クラウド上でサーバー構築を行い運用する方が容易です。自宅にサーバーを置く後者は、余っているパソコンを使うとパソコンの購入コストが省けます。サーバーに使うパソコンを用意したら、まずは基本的なネットワーク設定を済ませます。使わない通信ポートの開放はセキュリティリスクに繋がりますから、ポート設定でメールの送受信以外に使わないものは塞ぐことをおすすめします。
送信用のサーバーの定番といえば、Postfixあたりを使うのが便利です。受信用にDovecotを組み合わせると、自分で簡単にメールの送受信環境が手に入れられます。どちらも標準的なサーバーソフトなので、マニュアルやユーザーが多く情報が豊富で助かりますし、無料のLinuxが使えるのでOS代が節約できます。導入後、コマンドで宛先のメールアドレスとFromやToヘッダ、件名や本文を順に入力していけば、これでメールを送ることができるほど簡単です。最後にピリオドを打つのを忘れると送れないので、そこが注意点となります。ただ、このままだと扱いにくいですから、独自ドメインを取得して設定を行います。独自ドメインなら受信側にスパム扱いされにくく、扱いやすい形でメールサーバーの運用ができます。
それでも、適当にサーバー構築して独自ドメインを設定するだけだと、セキュリティに厳しい昨今では受信側に弾かれてしまいます。スパムではないことを証明するには、IPアドレスを固定して、送信側のドメイン認証を設定する必要があるわけです。用意した固定IPアドレスは、差出人のドメインAレコードに記載します。送信ドメイン認証は、ドメインのTXTレコードとReturnPathにそれぞれ、送信元のIPアドレスと自身のドメインを記載、設定することが基本です。
後は電子署名で送信ドメインを認証したり、DMARCでポリシー宣言の設定を済ませれば、無事にメールの送信が行えるはずです。サーバー構築はやることが多く、慣れないとやる方法を難しく感じてしまいがちですが、1つずつ手順を確認していけば自分でもできます。